風と波を読み、船を操る。世界の第一線で戦うセーリング選手

風と波を読み、船を操る。世界の第一線で戦うセーリング選手

磯崎哲也 さん Tetsuya Isozaki

磯崎哲也 さん
Tetsuya Isozaki

磯崎哲也 さん Tetsuya Isozaki

セーリング470級選手

セーリング470級選手。株式会社エス・ピー・ネットワーク所属。2017年世界選手権(マイアミ)での銀メダルを皮切りに、2018年アジア大会(ジャカルタ)での金メダル、同年世界選手権(デンマーク)での銀メダル他、多くの大会で活躍している。

日本人選手による世界的な活躍も後押しし、今、注目度が上がってきているセーリング。大海原を舞台にして、風や波の力を読みながらゴールを目指して競い合うスポーツです。

世界中で催される大会で素晴らしい戦績を上げ、今後も活躍を期待される磯崎哲也選手に、セーリングの魅力や道具である手袋などについて伺いました。

自然を相手にするおもしろさと緊張感

自然を相手にするおもしろさと緊張感

――セーリングの魅力を選手としての目線から教えてください。

セーリングは自然との戦いでもあって、スタート前にどういう風が吹くのかを予測したりするところから競技は始まっています。沿岸部に山があれば風は吹き下ろしてくるといったように、会場ごとに「風のクセ」がある。ですからレースが一斉にスタートすると、まず各艇は良い風を求めていろいろなところに散らばるんですね。雲の流れも風を読む材料になるし、風のあるところは海面が黒く濃く見えます。そういう情報を収集して海の傾向を捉えることがレースを進めるうえでのベースになる。そのうえで相手の艇と駆け引きをして、有利な位置へと船を進めていきます。

そうやって自然を相手にして戦略を立てながら一番を目指すところがおもしろいですね。どんな優秀なセーラーでも、風や波を完璧に予測することはできないからこその醍醐味があります。

それから、強い風が吹けば波も高くなりますし、セーリングは何かひとつ間違えたら艇がひっくり返ってしまうような危険が伴うスポーツでもあります。その緊張感にも惹かれますね。

競技としての注目度が高まるセーリング

――競技としての注目度が高まるなか、今後観てみようという人もどんどん増えてくると思います。どんなところに着目すると楽しめるでしょうか?

競技中は海に出てしまっているので肉眼で見るのは難しいかもしれませんが、各艇にGPSを積んで陸でも確認できるようにしたり、ドローンで上から撮影して迫力のある映像を楽しめるようになっています。それに、大会最終日のメダルレースは陸の近くで行うことが多くなってきました。それぞれの艇が風と波をどう読んで、どう船を操作しているのかなどを考えながら楽しんでほしいと思います。

セーリング選手としての今までと、これから

――なぜセーリング選手になろうと思い、この道に進んだのでしょうか?

兄が家の近くにあったヨットスクールで一足先にセーリングをしていまして、僕もやってみたいと思って小学三年生から始めました。小さい頃は湖で練習してたのですが、10歳のときに初心者のための大会で江ノ島に来て、初めて海に出たんです。その時の風と波のうねりは怖かったですね。でも、それでハマってしまって、そのまま今も続けているんです。

セーリング選手としての今までと、これから

――近年は、世界の強豪を相手にトップレベルの成績を収められています。出場した大会でのうれしかった瞬間や、思い出深かったことはありますか?

2017年の世界選手権マイアミ大会で銀メダルを取れたのはうれしかったですね。それが本格的に海外遠征を始めてから初めての大会だったので、自分がどのくらい通用するのかわからなかった。そんななかでの銀メダル獲得は大きな自信になりました。

今年(2018年)の世界選手権デンマーク大会での銀メダルも、もちろんうれしかったんですが、金メダルも見えていたけどぎりぎりのところで勝てなかった試合でした。どちらかというと悔しい気持ちが強いですね。

アジア大会(2018年ジャカルタ大会)は金メダルで優勝しましたが、これは私にとっては絶対に負けられない試合だったので、プレッシャーから解放された気持ちの方が大きかったです(笑)。

今後の目標は

――今後の目標は?

やはり、世界のトップで活躍することです。でもその前に、日本でトップでいることが大変ですね。セーリングは艇種ごとに船がよく走るといわれる体重や身長があるんですが、私の出場する470級はペアを組む2人の体重の合計が130kg程度でなければいけません。日本人の平均的な体格に適していることもあって、国内のレベルがとても高いんです。他の日本人選手に負けないためにも、一分一秒も無駄にできないですね。

風と波の力を逃がさないために。より素手に近い感覚を求めて

セーリング選手の多くは手袋を着用していますね。

――セーリング選手の多くは手袋を着用していますね。

セーリングではロープを操って船を進めるので、手袋が必須です。本当は風や波の感覚を読み取るためには素手が一番良いのですが、激しくロープを握っているとどうしても手の皮が剥けてしまうので。

私は7本のロープを操作し、かじ取りや、一番大きい帆(メインセール)のコントロールをする「スキッパー」という役割を担っていて、船の繊細な様子を感じとらなければいけません。風が強く吹けばグッと掴み、手から伝わる感覚で船を操作します。

手袋が分厚過ぎると感覚が鈍くなる。だからといって薄すぎるとグリップ力が足りなくなってしまう。バランスが重要なんですね。セーリング専用のグローブもあるのですが、私はより素手感覚に近かった「組立グリップ」を使っています。いろいろな手袋を試して、「これだ!」と自分で探し当てたつもりだったんですけど、案外まわりの選手も使っていました(笑)。

ペアを組む選手は船のバランスを整える「クルー」という役割なんですが、持つ紐が重く、私よりもずっと握力を使います。ですから彼は、さらに掴む力を発揮できる「グリップ」を使っていますね。それぞれの役割によって求められる動きが違うから、使いたい手袋も変わってくるんです。

(2018年9月19日取材)

インタビューで取り上げられた手袋について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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