山仕事をより身近に。若者たちと林業のこれから

山仕事をより身近に。
若者たちと林業のこれから

飯塚達郎 さん Tatsuro Iizuka

飯塚達郎 さん
Tatsuro Iizuka

飯塚達郎 さん Tatsuro Iizuka

アニマルトレーナー

職業:林業従事者。「東京チェンソーズ」社員。東京都・檜原村で、木の管理や間伐・伐採の作業を行っている。

飯塚さんが働く東京チェンソーズは、2006年に創業した、若手が活躍する林業の会社です。
60歳以上の方が主力である林業界において、30代の社員たちが、これまでの林業を大切にしながら若さを活かした新しい試みを始めています。地域や学校との取り組み、こだわりの製品づくりもそのひとつです。

そんな挑戦を続ける飯塚さんに、林業の枠組みにとらわれない活動や、ご自身のお仕事についてお聞きしました。

林業界に巻き起こった新しい風

--- 東京チェンソーズは、林業界に新風を吹き込むおもしろい取り組みを実施されていますね。

はい。たとえば、「K×Kプロジェクト」では、弊社が多摩産材を提供し、工学院大学の学生たちが、自ら八王子キャンパス内の老朽化した建物の建て替えを進めるというプロジェクトを行っています。弊社は木材を出荷することができ、学生は木造建築を学ぶ機会を得られるという、両者にとってメリットがある仕組みを築いています。
また、「東京美林倶楽部」という、一般会員の方に苗木を3本植えてもらい、東京に一緒に森林を作るプロジェクトも行っています。3本のうち2本は会員の方の木として30年、成長を見守っていただき、弊社は年会費を頂きながら伐採・木材としての利用までをサポートします。そして残りの一本は、次の世代へ続く森の一部になっていきます。東京にもいい森がある。これをもっと利用し、事業として続けていくために、自分のできることをしていきたいと思っています。

林業産業界に巻き起こった新しい風

--- 一般の人に直接語りかけ、ものを売るクラウドファンディングにも挑戦されています。

クラウドファンディングでは、天然乾燥による質の高い板を活用した製品「A BOX(アボックス)」を扱っています。天然乾燥は約半年もの手間と時間がかかるのですが、木が本来持つ性質や手触りを逃がしません。
それから、デザイナーさんが「おもむきがある!」と言ってくれたこともあって、「A BOX」には節(ふし)のある材も使っています。
一般的に捨てられてしまいがちな材なんですが、こういう材をもっと使える社会になったら面白いなと思います。いろんな木を使っていると、僕たち人間の多様性まで認められているような気がするんです。そんなことも考えながら、木の温もり豊かな「A BOX」を作っています。

一般の人に直接語りかけ、ものを売るクラウドファンディングにも挑戦されています

--- 東京チェンソーズの取り組みと、従来の林業との違いを教えてください。

今までの林業は木を育てて、伐採して終わり。でも、東京チェンソーズでは、こういった活動を通して伐採のその先へ林業の可能性を広げていく取り組みを行っています。

僕らがなんのためにこの仕事をしているのか日々感じとることができるのも、実際の使い手の顔が見え、声が聞こえる取り組みを多く行っているから。やはり、その分やりがいも違ってきます。

愛する山とその仕事。

--- 林業は、具体的にどのようなお仕事でしょうか?

まず、苗木の「植えつけ」から最初の7年くらいは「下草刈り」が必要です。ここまでで、5~6mくらいに成長するので、地面に光が届かなくなって草刈が必要なくなります。
その後は商材としての価値を高めるために枝を切る、「枝打ち」という作業を繰り返しおこなう時期に入ります。その現場は、だいたい25年〜30年後に「間伐(かんばつ)」という育ちの悪い木などを切る間引きの作業をします。そして、50年ほど経ったらいよいよ伐採し出荷という、そういうスパンです。

--- どんな部分に魅力を感じて林業の世界に入ったのですか?

もともと自然の中で働きたいという気持ちがあり、保全事業にも興味があったため林業の道を選びました。たとえば間伐をすれば、鬱蒼としていた山にも光が差し、草木が新しい芽を出したりする。そういう、自然の大きなサイクルの中に自分も加わることができたような気がして。それは林業ならではの醍醐味だと感じています。
また、伐採した木を見ると年輪、色味、枝打ちの跡などから、作業をした人の技術や、枝打ちをした時期の良し悪しなどが一目瞭然なのもおもしろい。50年後の林業に携わる誰かが、僕が枝打ちをした木を切って僕の腕を見るんです。だから目の前の作業には常に緊張感があって気が抜けないし、その緊張感も魅力のひとつかもしれません。

愛する山とその仕事

--- 魅力の多い仕事ですが、一方で山には危険も付き物だと思います。具体的にどんなリスクがあり、どんな対策をしていますか?

滑落や落石、蜂さされ、回転刃物によるケガなど色々あります。朝礼では危険予知ミーティングを行い、一日の終わりにはその日起こった「ヒヤリ・ハット」の共有を仲間と行いますね。何かがあった時に助けを呼べないといけないから、基本的に山に入る場合はひとりでは作業しないようにしています。
時間的に余裕を持って行動することで、気持ちにも余裕を持たせるということを心がけています。

フィット感と耐久性。細かい作業にも使える手袋。

--- お使いいただいているのは「組立グリップ」ということですが、使い始めたきっかけは何でしたか?

林業の雑誌で、ベテランの方が「この手袋以外使えない」とコメントしていたことがきっかけです。記事を読んでから試しに「組立グリップ」を使ってみたらすごく良くて。それ以来愛用しています。フィット感と耐久性にポイントを置いてずっといろいろな手袋を試していたんですけど、「組立グリップ」はこの両方を兼ね備えていました。

--- 具体的にどんな作業のときに使用していますか?

ほとんどすべての作業ではめています。革製の手袋と違って、細かい作業もできるから、いちいち着脱する必要がないのがうれしいですね。手袋をはめたままで靴紐を結べますし、重機の運転もできる。さらには、油を使用する機械のメンテナンスの時も重宝しています。

林業ならではの作業で言えば、まっすぐな木を育てるために「雪起こし」という麻紐を用いる細かい作業があるんですが、その作業を素手で行うと、麻紐が手にあたり荒れてしまう。しかし分厚い手袋を使用すると麻紐が結びにくい。こんな悩みを解決してくれたのが「組立グリップ」です。手にまつわる「ヒヤリ・ハット」を防ぐためにも手袋は欠かせませんが、これは素手に近い感覚で着用できるので、作業効率が損なわれず助かっています。

フィット感と耐久性。細かい作業にも使える手袋

この「組立グリップ」は、うちの会社の仲間だけでなく、他の同業者の方にもおすすめしています。これひとつでなんでもできるので、「組立グリップ」、大好きです。

これひとつでなんでもできるので、組立グリップ、大好きです

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