心と体にプラスになるガーデンづくり
小島理恵 さん
Rie Kojima
職業:オーガニックガーデナー
環境に合う植栽プランや植栽内容に適した土づくりを大切にしたガーデンづくりを行っている。
株式会社Q-GARDEN代表取締役。町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー講師も務める。
ガーデンデザインから施工、手入れまでを一貫して行うというスタイルで会社を設立。
景観・環境の向上に貢献するガーデンづくりを行っているというオーガニックガーデナーの小島さんに仕事と手袋についてのお話をお聞きしました。
自宅の庭で祖母が作っていた野菜や山菜を採っていたのが思い出です
--- 庭いじりは昔からお好きだったのですか。
好きと言うよりも、日常的なものでした。小さい頃は自宅の庭で祖母が野菜や山菜を育てていて、夕方になると、料理の材料としてシソや山椒、茗荷などを採りに行っていました。
その頃はテレビを見ている最中に母から言われたりして、嫌々行っていたのを思い出します。
でも、そういう昔の出来事が今に活きているのかもしれません。
高校生のときは自分が何の仕事を目指せば良いのか分からなくて、その時期は、環境問題が盛り上がりを見せ始めていたので、それじゃ、大学は森林科学科にでも行ってみようかというような考えでした。
女性目線で仕事をしていると、分かってくることがありました
--- 大学卒業後は造園関係の会社に入社して、緑地管理に携わったそうですね。
工場やオフィスビル周りの緑地管理です。今でこそ女性のガーデナーが増えましたが、当時は、現場で私だけが女性で、ほかは全員男性というのが普通でした。やりづらいこともありましたが、逆に女性目線で仕事をしていると、いろいろと分かってくることがありました。
例えば、主婦の方が男性担当者に言っても分かってもらえない部分があるんですね。自宅で料理をしているときに、ちょっとした薬味が必要になってすぐ採りに行けるとか、洗濯物が景観の邪魔になるかもしれないなどの視点が男性だと分からないんです。そういう面から仕事が次第に面白くなってきました。
庭というのは室内からトータルで考えないといけないところもあります。部屋から庭を眺めるので、インテリアとの兼ね合いも実は大切になってきます。そのことに気づいてからインテリアの学校にも通いました。
植物や鳥、カエル、そして人間にとって居心地の良い庭に
--- インテリアとの関係性に気づいたことがQ-GARDENを立ち上げられるきっかけになったのですか。
そうですね。庭というのは暮らしの一部なので、トータルで考えなくてはいけません。それはお客様と関わっていく中で実感したことでした。自分で会社を立ち上げるときは、インテリアの関係性を考慮するとともにオーガニックで行うということを決めていました。
造園業界は農業よりも農薬についての規制がずっとゆるく、たくさんの農薬を使用することが普通のやり方になっています。せっかく家の周りに緑を植えても、そこに環境に害があるような農薬をたくさん撒いてしまっては意味がないと思うんです。だから、見た目だけでなく、環境が本質的に良くならないと、私たちの仕事は意味がないのではと思うようになりました。虫も鳥もカエルも、もちろん人間も居心地のいい庭を作りたいですね。それがQ-GARDENのポリシーです。
指先の感覚があって、手にピッタリフィットするグローブがベスト
--- ガーデニングの作業は女性にとっては大変なことも多いのでは?
土いじりをすると、爪の間に土が入ったりするのが女性ならではの悩みでしたね。だからグローブを使用するのですが、なかなか良いものが見つからず、ホームセンターを探し回った時期もありました。いろいろなグローブを試して見つけたのがショーワグローブさんの「組立グリップ」でした。
最近のガーデニングは、穴を掘って木を植えるという土木作業ばかりではなく、草花のように、少し細くて小さいものを扱うことが多いのです。例えばバラなどだと、成長の方向やバランスを調節するために、支柱に茎を結びつけますが、紐を結ぶときに厚い手袋をはめたままだと作業ができません。その度に手袋を外すのは手間がかかります。そんなときに「組立グリップ」は手にピッタリとフィットして指先の感覚もあるので、とても使いやすいのです。それと、花の色の組み合せを考えることが多いので、色彩感覚を邪魔しない無彩色なのも良いところです。
ガーデニングの経験を活かして社会の役に立つお手伝いを
--- 最後に今後やっていきたいことを教えてください。
いま里山BONSAIプロジェクトというものを進めています。里山とは、都市と大自然の中間に位置する空間のことで、人間の影響を受けた生態系が存在する山のことをいいます。この場所を守るためのプロジェクトです。里山は人が管理する身近な山なので、手入れをしないといけませんが、手間もお金もかかります。元々、私は林業の勉強をしていたので、人と里山の環境を守りたいという思いもありこのプロジェクトに参加しました。
私は造園という仕事を通して、くらしや環境を良くする、そしてそこに携わる人たちの雇用も創出するなど、社会をより良くしていく仕事にもっと関われたらと思っています。