車いすラグビー選手が語る 競技の魅力とグローブへのこだわり

車いすラグビー選手が語る
競技の魅力とグローブへのこだわり

島川慎一 さん Shinichi Shimakawa

島川慎一 さん
Shinichi Shimakawa

島川慎一 さん Shinichi Shimakawa

車いすラグビー選手。BLITZ所属。日本代表選手としてアテネ、北京、ロンドン、リオ計4大会のパラリンピックに出場。2016年リオ大会では3位、2018年世界選手権では優勝に輝いた。

パラリンピック競技の中で唯一、車いす同士のぶつかり合いが認められている「車いすラグビー」。2016年リオデジャネイロパラリンピックで3位、2018年世界選手権で優勝と日本代表選手の大健闘で人気を集めています。車いすラグビー選手として長いキャリアを持つ島川慎一選手に、競技の魅力、東京パラリンピックへの思い、そしてプレーに欠かせないグローブについてお伺いしました。

迫力のぶつかり合い スピード感のある試合展開を楽しむ

――東京パラリンピックをきっかけに、初めて車いすラグビーを知った方もいると思います。これから車いすラグビーを観戦する方に伝えたい、車いすラグビーの魅力や見どころとはどんなものでしょうか。

車いすラグビーの魅力

見どころを一つ挙げるなら、やっぱり力強いタックルでしょうね。パラリンピック競技の中で唯一、車いす同士でのぶつかり合いが認められているんですよ。タックルは結構激しくて選手が転倒することもありますので、初めて観戦される方に驚かれることが多いですね。それ以外だと攻守がめまぐるしく入れ替わる試合展開の速さも魅力です。トライが決まったと思ったらもう次の攻撃が始まってしまうので、点が入っても喜んでいる時間もないぐらいなんです。

個人的にぜひ見ていただきたいのは、守備の選手たちの位置取りですね。攻撃役の選手に点を取らせるために、彼らがどうやって敵の動きを封じ、味方が進む道を作り出しているかに注目すると、戦術的な部分が分かってきて面白いと思います。ただ本当に試合展開が速いので、細かいところまでじっくり見ていると疲れてしまうかもしれません(笑)。

車いすの操作には手の甲も使用

――観戦する前に覚えておいた方が良いルールはありますか?

車いすラグビーは、ボールを持つ選手の車いすが相手陣地のトライライン上に達するか、通過すると1点が入ります。そうやって2チームが互いに点を取り合う、シンプルで分かりやすいスポーツです。大きな大会だと解説が細かいルールを説明しながら進行しますし、予備知識がない方でも安心して観戦していただけますよ。だからルールを覚えるよりも、まずは足を運んでいただいて、選手が転倒したときには思いっきり歓声を上げて盛り上がってほしいですね。

強くなるために渡米を決意 車いすラグビーが人生を変えた

――島川選手は車いすラグビーの世界で長い間活躍されていますね。島川選手と車いすラグビーとの出会いについて教えてください。

競技歴は20年以上になりますね。21歳のときに交通事故に遭って車いす生活になってから、初めのうちは運動のために陸上をやっていました。そんなある日、知り合いから誘われて車いすラグビーの練習試合を見学しに行ったんです。誘われて渋々見にいったんですけど(笑)、体全体を使ったプレーとか、時には倒れるぐらい激しくぶつかるとか、そういう場面を目にした時に単純に面白いなって感じて。それで挑戦しようという気持ちになりました。

――車いすラグビーを始めたことで、心境の変化はありましたか?

ラグビーってチームスポーツなのでどうしても人と関わらないといけないじゃないですか。最初はそれが苦手だなと思っていたんですけど、続けているうちに徐々にですが周囲とも打ち解けてきて。気付いたらラグビーのことも含めて色んなことを話せるようになっていました。車いすラグビーと出会ったことで僕の人生は大きく変わりましたね。まさか、強くなるために海外に渡ろうと決意するなんて、始めた当時は思いもしなかったです。

車いすラグビーを始めたことで起こった心境の変化

――2005年に車いすラグビーチーム「BLITZ」を設立。その同じ年に渡米して、アメリカ国内リーグでプレーされています。

海外へ行こうと思ったのは、当時日本ではそこまでラグビーの環境が整っていなかったということが大きいですね。自分のチームを作った直後ではあったんですけど(笑)、どうせ行くなら一番レベルの高いところにと思ってアメリカに渡りました。

自分がどれくらい世界で通用するのか試してみたいって気持ちもありましたよ。日本と比べるとアメリカは選手の競技に対する意識が違いましたね。練習でもオフでもずっとラグビーのことを考えている人ばかりでした。試合数も圧倒的に多かったですし、刺激になりましたね。今は以前より日本選手も意識が高いですし、練習環境も整っています。観客の数も増えてきていて、上を目指してプレーできる環境になりつつあります。

東京パラリンピックに向けて

――東京パラリンピックへの意気込みをお聞かせください。

2018年の世界選手権で1位になって、そこで満足するかなと思ったら全然違いました。元来負けず嫌いだったというのもありますが、もっと勝ちたい、もっと強くなりたいという思いでいっぱいですね。まだパラリンピックでは一番になったことがないので、そこを目指して頑張っていきたいです。日本チームの雰囲気はどんどん良くなってきていますよ。コートでプレーする選手はもちろん、ベンチの選手にも一体感があります。格下相手でも、点差が開いていても、変わらずに声援を送れていて、ともに試合に出ているような感覚ですね。

東京パラリンピックに向けて

――自国開催である東京パラリンピックに対してどのような思いを抱いていますか。

自国開催だと土地勘もあるし、食べ物が合わなくて困ることもない。飛行機に乗る必要がないので移動や時差の疲れが少なく、日本チームにとってはすごくメリットもあるんですけど、やっぱりプレッシャーも半端ないですね。色々なところで「金メダルを獲ります」と言ってしまっているので、負けたら国外追放されるんじゃないかって心配になるくらい(笑)。

でもしっかりと勝つところをホームでお見せしたいので、ぜひ応援に来ていただけると嬉しいですね。やっぱり応援は力になりますので。試合は開会式の翌日から始まりますので、楽しみにしていてください。

愛用のグローブがプレーの質を左右する

――車いすラグビーにグローブは欠かせないんですよね。

車いすラグビーに欠かせないグローブの存在

握力がない選手が多いので、車いすを動かすにもボールを握るにも、グローブのサポートが必要になります。僕も左手の握力は8kgぐらいしかありませんし、もっと障害の重い選手の中には手の甲を使って車いすを動かす人もいます。その場合は手のひらだけでなく、手の甲までコーティングされた手袋が選ばれていますね。

車いすラグビーを始めた当初は強度があるかなと思って、革製のアメリカンフットボール用グローブを使っていました。でも素材が硬くて握りにくいうえ、安いものではないのに数回使うとゴワゴワになって破れてしまって。汗によるニオイも気になっていました。

どうしようかなと思っていた時に、海外選手に勧められたのがショーワグローブだったんです。実は僕は以前運送屋をやっていて、その時にショーワグローブさんのグローブをよく使っていたので、「本当にこれでできるの?」って半信半疑でした。でも、いざ使ってみると車いすの操作もボールの扱いも、グローブがやわらかく、グリップが効いてやりやすくて衝撃を受けましたね。通気性が良く、汗をかいても臭くなりにくいのも気に入りましたし、コスパもいい(笑)。

(2019年12月11日取材)

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  • No.305 ナックルグリップ

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