健康と美味しさを追求して毎日の食事を提供すること

健康と美味しさを追求して
毎日の食事を提供すること

萩 信也 さん Shinya Hagi

萩 信也 さん
Shinya Hagi

萩 信也 さん Shinya Hagi

レストランのシェフを経て、株式会社LEOCに入社。首都圏シニア第一運営指導本部の担当部長を務め、現場スタッフの育成にあたっている。

病院や老人ホーム、福祉施設、学校、企業の社食など、さまざまな場所で「食事サービス」を提供する株式会社LEOC。創業30年を超え、いまもなお成長を続ける同社の秘密は、「現地調理」にこだわっていること。一括調理が可能となるセントラルキッチンを持たず、調理スタッフが現場まで向かい、そこでクライアントのさまざまなニーズに応じた食事を提供するといいます。あえて現地調理にこだわる理由は何なのか。運営指導本部で後進の育成に携わる萩 信也さんにお話を伺いました。

なぜ、セントラルキッチンを持たないのか

――LEOCはどんなサービスを提供する会社なのか教えてください。

メインとなるのは食事提供サービス事業です。企業や学校、病院などさまざまな施設からの委託を受けて、社食や給食を提供しています。
なかでも売りにしているのは「オーダーメイド」。たとえば、食事サービスというとひとつの施設でまとめて調理したものを配食していくようなセントラルキッチンをイメージすると思います。しかし、LEOCはセントラルキッチンを持たず、現地で調理したものを提供することを心がけています。

なぜ、セントラルキッチンを持たないのか

――セントラルキッチンを持たず、なぜ現地調理にこだわっているのでしょうか。

もちろんセントラルキッチンで一括調理をした方が、コストは抑えられます。しかし、さまざまなニーズに応えるための細かなカスタマイズが難しくなってしまう。
そして何よりも、セントラルキッチンで調理したものを現地まで運ぶ場合、どんなに工夫したとしても温度変化によってタンパク質が凝固してしまい、おいしさが半減してしまいます。おいしい料理を提供するためにはレストランと同じように現場で調理し、すぐに提供した方がよいため、現地調理にこだわっています。

――萩さんはLEOCでどのようなお仕事に携わっているのでしょうか。

私は運営指導本部に所属しており、現場のスタッフの指導やクライアントへの料理の提案などに携わっています。

もともとLEOCに入社したのは、「料理を通じてお客様に喜びと感動を与える」という経営理念に共感したから。かつてはレストランでシェフとして働いていたのですが、いつからか「自分の料理を福祉などの分野に活かせないだろうか」と考えるようになりました。その矢先、LEOCと出会い、入社を決めました。

――入社してみて、レストランのシェフ時代との違いはありましたか?

外食産業にいた頃は、すべてがシェフである自分の主観や好みで決められていました。それに対して、お客様がお金を払ってくれる。ところがLEOCの場合はお客様(クライアント)の要望が第一。たとえば病院や福祉施設にいる方々にとって栄養価が高いもの、食べやすいものは何かを考え、それを調理する。あまり量が食べられない高齢者には、目で楽しんでいただけるようなものを提供する。料理の向こう側にいるお客様をより意識する環境が用意されているところに違いを感じますし、喜びを見出しました。

それぞれのニーズに合わせた食事を提供する

――老人ホームや企業の社食、病院など、さまざまなお客様に合わせた料理を提供する上で気を配っていることはありますか?

それぞれのニーズに合わせた食事を提供する

高齢者が対象となる老人ホームで調理する場合、食事にプラスアルファの価値を付けるような企画を考えるようにしています。たとえば季節に応じたイベント食を提供することで、より一層喜んでいただけます。

社食であれば、これまでは「量を出す」ことが求められていました。しかし、女性が働くことが一般的になったことや、企業が社員の健康や食の志向(多様性)を重視するようになったことを受け、健康的な献立に加えてヴィーガン料理※や野菜を使ったデザートなども提案することを心がけています。
病院の場合は治療食がメインです。そのため、管理栄養士が考えた献立を忠実に再現することが求められますね。
その他、産後食やアスリート食にも対応することがあります。

※ヴィーガン料理:肉や魚のほか、卵や乳製品など動物性食品を使用しない料理。

それぞれのニーズに合わせた食事を提供する

安全な食のため、大量の手袋が欠かせない

――現地調理となると、一括調理よりも衛生管理をするのが大変ではないでしょうか?

安全な食のため、大量の手袋が欠かせない

LEOCには、衛生管理専属のチーム・部署が全国にあります。厚生労働省の大量調理マニュアルやHACCP※の導入マニュアルなどを熟知したスタッフが、北海道から沖縄まで各エリアに配属されており、定期的に現場を巡回しています。調理時の温度管理だけでなく、手袋をマニュアル通りに着脱し衛生管理できているかチェックし、できていなかった場合はその場で指導します。

なぜそこまで衛生管理を行うのか。それは、お客様の中には免疫力や抵抗力が落ちている人たちも少なくないからです。衛生管理を怠ってしまえば、命の危険にもつながります。そんな責任を背負いながらも美味しいものを味わってもらうために、私たちは衛生管理を重要視しています。

※HACCP:食品に関する衛生管理の手法。2021年6月より、すべての食品関連事業者に対してHACCP導入の完全義務化が施行された。

――コロナ禍、かつHACCPが義務化されたことにより、調理に携わる方々の衛生管理は本当に厳しくなった印象があります。そこでポイントとなるのは、どんなところでしょうか?

基本的に私たちは素手で調理できません。新人スタッフが入社したときには手洗い・うがいといった衛生管理の初歩から伝えるのですが、同時に「手袋」の取り扱い方についても指導します。私たちにとっては、それくらい手袋は重要なアイテムです。

――手袋は一回の調理で何度も付け替えるのですか?

もちろんです。作業ごと、食材ごとに付け替えています。なぜならば、手袋に付いた雑菌が他のものにも移ってしまうリスクがあるからです。とにかく手袋の消費量が増えてしまうのですが、ここを徹底しないと安全な料理が提供できない、と考えています。

ちなみに、手袋にはしっかりフィットするタイプ(ニトリルゴム製)とゆとりのあるタイプ(ポリエチレン製)の2種類を工程によって使い分けています。

――どのように使い分けているのでしょうか?

安全な食のため、大量の手袋が欠かせない

フィットタイプは食材を切るときに使います。フィットしていれば、手袋の指先の方を切りおとして、その断片が食材に混入するようなリスクを回避できるからです。それ以外の作業、たとえば具材を盛り付けるときなどはゆとりのあるタイプのものを使います。

また、厨房で使用する手袋は、青色のものがほぼメインになります。青色をした食材はありません。万が一、食材を切っている最中に手袋の破片が紛れ込んでしまったとしても、青色だと目立つので取り除くことができるのです。

提供した料理に異物が混入した場合、若者であればすぐに気づいて吐き出せるかもしれません。でも、高齢者だと、そのまま誤飲してしまう恐れがある。そういう危険を避けるうえでも、こうして手袋を使い分けることが重要なのだと考えています。

(2021年6月1日取材)

インタビューで取り上げた手袋について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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