美しい爪と手元のために
心がけたいケア
花井 可奈子 さん
Kanako Hanai
自爪育成ネイルケア®サロン グランクール主宰。化粧品ブランドの広報などを経てサロンを設立。ホームページやYouTubeなどでも自爪ケアの大切さと方法を広く発信している。
誰かに何かを差し出すときやスマホを入力するときなど、目に入る度に気になってしまう指先や爪。乾燥が気になる季節は特にケアに気を遣って、爪を健康に保ちたいものです。独自のメソッドで自爪を育てるネイルケアを提唱するネイルサロン、グランクール主宰の花井可奈子さんに健康で美しい爪を育てるネイルケアについてお話を伺いました。
おしゃれを楽しむ一方で、コンプレックスを持つ人も多い爪
――花井さんのサロンには、どんな悩みを持つ人がいらっしゃいますか?
深爪や二枚爪、割れやすいといった爪のトラブルを抱えている方のほか、形や大きさ、表面の筋や凹凸が気になるといった悩みを持つ方がいらっしゃいます。最近はジェルネイルによるダメージを改善したいという方も多くなりました。
男性のお客様も2割弱ほどいらっしゃいます。手元を見せる職業、例えばマジシャン、料理研究家、お医者様、ジュエリーや保険の営業職といった方が中心です。パートナーと一緒に来られる方もいらっしゃいますが、爪を噛む癖がある方や指先にコンプレックスを持っている方は自発的に来店されていますよ。
――ジェルネイルは最近のトレンドですが、爪に負担がかかるのですか?
ジェルネイルは、UVライトで硬化するため取れにくく、立体的なアートが実現しやすいので忙しい中で爪のおしゃれを楽しみたい方に人気です。ただし、塗布する前に自爪の表面を削ったり、オフの際に強い溶剤を使用するため、爪への負担は深刻です。酸素が透過しにくいというデメリットもあります。また、爪にダメージがあってもそれを隠すためにさらにジェルネイルをして、どんどんダメージを蓄積してしまう方もいます。
「爪を美しくみせたい」のに、「乱暴に扱っても平気」という理由でジェルを施す方もいますが、所作も変わるため本末転倒な気がします。
――爪のコンディションが悪くなると、どのような症状が見られますか?
ささくれや二枚爪になったり表面が凸凹したりするほか、乾燥して白っぽくなってしまうこともあります。また、薬品やジェルのダメージをそのままにしておくと爪の色が黄色や緑に変色してしまう場合もあります。強い異変を感じたら皮膚科受診をおすすめいたします。
自爪の健康と美しさを主軸に置くネイルサロン
――花井さんの経営されているネイルサロンの特徴を教えていただけますか?
一般的なネイルサロンは爪の上にカラーやデザインを楽しむことをメインの目的としているのに対して、私のサロンは爪の健康と美しさを育てることを目的としています。ボディメンテナンスと同じように継続的なケアで爪の悩みを解消することを目指し、オリジナルのネイルケア用品も開発しています。
私がサロンを開いたのは1996年で、それ以前のネイルケアはエステや美容室で行われることがほとんどでした。私自身がとても爪が弱く、ネイルケアを受けてみると甘皮(爪の付け根の皮膚と爪の境目にある薄い皮)は切られてしまった上に、爪が薄くなってゆくという散々な経験をしました。ネイルのおしゃれは爪が丈夫な人だけが楽しめるものなのかと、がっかりしたものです。
爪や指先の悩みは、男女も年齢も問わず多くの方が持っています。私と同じように爪が弱い人も健康な爪でネイルのおしゃれを楽しめるようにしたい。そう思って勉強と研究を重ねてサロンを開きました。
――健康な爪かどうか、自分で確認するポイントはありますか?
目で見て、触って、観察してみてください。まず爪の表面。全体的にツヤがあって滑らかなこと。色はやさしいピンク色が理想です。白っぽくなっている場合や縦横に筋がある、凹凸があるのはよくない状態です。
それから爪の厚みや形。適度な厚みと弾力があって、アーモンドのように立体的な丸みを帯びていること。ダメージがあると薄くなったり二枚爪になったりと、脆くなります。
そして爪の根元や周りを見ましょう。甘皮が滑らかなラインを描いていること、爪先はピンク色の部分と白い部分の境目がアーチのようにきれいな曲線になっていることが理想です。ささくれもダメージの現れです。
健康な爪は水分と油分を適度に含んでいるものです。気になるポイントがある方は、ネイルオイルをこまめに使ったり、是非一度はプロのケアを受けたりしていただきたいですね。
健康で美しい爪によって、多くの方に笑顔になってほしい
――自宅でできるネイルケアについて教えてください。
まず気をつけたいのが長さと形です。全体を四角くしたあと、角に丸みをつけたラウンドスクエア型をおすすめします。丸みのあるラウンド型は、先端に圧力がかかりやすいため、爪の育成には不向きです。また、パチンと切るタイプの爪切りの使用は避けましょう。二枚爪になりやすく、根元の爪を作る部分、爪母(そうぼ)にも負担がかかってしまいます。爪が負けてしまわないように、やすりは金属やガラスでなく紙製がベストです。
深爪が気になる方は、爪先の白い部分を常にネイルベッド(爪の下にあるピンク色の部分)より2~3mm程長く保つように整えてください。そうすると爪と皮膚をつないでいる薄い皮膚、爪下皮が育ってきます。これによって少しずつネイルベッドも伸びてゆきます。指先の爪と皮膚の間にネイルオイルを付けると、爪下皮に栄養と潤いを与えることができますよ。
また、深爪の状態が長期に及ぶと、爪が覆っているはずの皮膚が硬くなることがあります。オイルやクリームで指先に栄養を与えて、指先を使う作業をするときは負担をかけないよう、綿やメッシュなどの手袋で保護をすることをおすすめします。
――爪の保護に手袋が役立つのですね。
爪は皮膚の一部ですから、ハンドケアと同様の考え方をします。水や薬品などの刺激から爪を守るためには手袋の着用が有効ですよ。また、サロンでケアを受けたあとの爪はオイルが浸透しやすくなりますが、シャンプーや洗剤の成分も入りやすい無防備な状態に。なおさら手袋が重要になりますね。私自身、家事をするときには手袋を着用しますし、就寝時にも綿などの天然素材のものをしています。手袋をする前にオイルやクリームを塗るのも「ながらケア」ができるのでおすすめです。
――サロンの施術や自宅でのケアについて伺ってきましたが、爪が健康で美しくなると、私たちの生活にどんな変化があるのでしょうか?
爪を見られまいとおどおどしてしまって恋愛やお仕事がうまくいかなかった方から、爪がきれいになったことで明るさを取り戻して良縁に恵まれた、営業成績が上がるなどビジネスが好転したという嬉しいご報告をいただいたことが何度かありました。また、痛みのある足の巻き爪をかばって歩いていた方から、腰痛が軽減したとか、ゴルフのスコアが上がったというお話も聞きます。
たかが爪と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、爪本来の健康的な美しさを取り戻すことで、暮らしや人生が変わるきっかけになるケースもあります。自信を得て表情も性格も明るくなるお客様を見ると、心から嬉しく誇らしい気持ちになります。ぜひ、爪のケアと保護に気を遣って、多くの方に笑顔になっていただきたいですね。
(2020年9月25日取材)
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