人の手で、人の命と心を救う。災害ボランティア活動の最前線

人の手で、人の命と心を救う。
災害ボランティア活動の最前線

沢渡 一登さん

沢渡 一登 さん
Kazuto Sawatari

沢渡 一登さん

公益財団法人日本財団ボランティアセンター 常務理事。2011年に発生した東日本大震災では、1千名を超える学生ボランティアをコーディネート。2017年に日本財団ボランティアサポートセンターを立ち上げ、東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティアトレーニングに携わる。現在は組織運営から災害現場でのボランティアコーディネートまで幅広く担当。
公益財団法人日本財団ボランティアセンター公式ウェブサイト
https://www.volacen.jp/

地震や豪雨などの大規模災害が発生した際、被災地の復旧や避難生活を支える災害ボランティア。瓦礫の撤去や炊き出しといった活動でよく知られていますが、それにとどまりません。日本最大級のボランティアプラットフォームサイト「ぼ活!」を運営する日本財団ボランティアセンター 常務理事の沢渡 一登さんに、災害ボランティアの実際の活動内容や現場で求められる支援について伺いました。

災害の発生直後から、復興までを伴走する

──災害ボランティア活動とはどういったものですか?

地震や豪雨、竜巻などの大規模な自然災害が発生した際、見返りを求めず自発的に行う被災地への支援活動全般をいいます。その内容は非常に多岐にわたります。
例えば発災直後は、自衛隊などの緊急車両が通れるよう、道路をふさぐ瓦礫や漂着物を小型重機などで撤去する必要があります。この最初の一歩を担っているのがNPO(非営利組織・法人)やボランティアであることはあまり知られていません。

発災から72時間を過ぎると、提供する支援は災害関連死の防止、すなわち「助かった命をどう守るか」に移行します。炊き出しや物資の配布、避難所での見守り活動などを通じて避難生活を支えていくのです。瓦礫の撤去や分別、水害で家屋の床下に入り込んだ泥をかき出す作業などもボランティアが担っています。

写真提供:公益財団法人日本財団ボランティアセンター

災害ボランティアは長年マンパワーで行われてきましたが、災害の激甚化や人手不足などを背景に、よりスピーディーに支援を提供できる小型重機の導入も進んでいます。

対話を通じて、胸の内からニーズを引き出す

──日本財団ボランティアセンター(日本財団ボラセン)では、現地でどのような支援を提供しているのですか?

まず大前提として、活動中に必要な食料や飲料、衣類や装備はすべて持参し、撮影やSNSへの投稿は事前に必ず許可をとるなど、住民の方々に負担をかけないための準備や心構えをして臨みます。
そのうえで避難所に入り、現地の方のニーズに耳を傾けながら「オーダーメイド型の支援」を提供していくのです。例えば、倒壊した家から銀行通帳や位牌を取り出したい。自動車は無事だったが、鍵が屋内にあるので動かせない。こうした困りごとにきめ細かく応えていきます。

写真提供:公益財団法人日本財団ボランティアセンター

避難所では入浴ができないため、住民の方にバケツで足湯を提供します。浸かってもらって手をもみながらコミュニケーションをとっていると、次第に緊張がほぐれ、これまで遠慮して言えなかった本音がこぼれることがあるんです。「手続きが難しくてわからない」「支援物資の中に必要なものがない」。そうしたつぶやきを集めて分析し、新たな支援につなげたり、ニーズの変わり目を察知したりもしています。

〈大雨で被害を受けた山形県で、花壇に花を植える学生ボランティア〉
写真提供:公益財団法人日本財団ボランティアセンター

さらに住民の方と打ち解けてくると、「大切な人を失った」「家や思い出の品がなくなった」というつらい胸の内を打ち明けていただくこともあります。信頼していただけた証ではありますが、その思いを受け止めることは、災害ボランティア自身の心の負荷にもなり得ます。また、現地で倒壊した家屋や寸断された道路などのショッキングな光景を目の当たりにすることで、惨事ストレスを引き起こす可能性もあります。
そのため日本財団ボラセンでは、その日の支援活動で見聞きしたことや感じたことを話し合う場を設けたり、アフターフォローをしたりして、負担の軽減に努めています。

──災害ボランティア活動に参加した方からはどのような声が聞かれますか?

「報道されていない現場のリアルを知ることができた」という声が多いです。被災した家屋や道路などの様子は繰り返し報道されますが、避難所に身を寄せるお一人お一人のストーリーはなかなか伝わりません。住民と一緒に片付けや炊き出しをしたり、直接思いを聞いたりすることでしか見えてこないリアルがあります。

〈2024年、石川県珠洲市「道の駅すずなり」で開催された石川県立飯田高等学校・吹奏楽部による定期演奏会〉
写真提供:公益財団法人日本財団ボランティアセンター

例えば能登半島地震の支援では、吹奏楽に打ち込んでいる学生からの依頼で、ボランティアが倒壊した家屋から楽器を探し出しました。その方はそれをきっかけにトランペットを一から学び、学生と一緒に定期演奏会に出演したんです。東日本大震災の支援活動に参加した学生の一人は、報道のあり方に問題意識を持って新聞記者を志しました。「あの人に会いたい」「次はこういう支援がしたい」とリピーターになる学生ボランティアも少なくありません。被災地を支援するという枠を超え、そこに生きる人たちに会いにいくようになるんです。

初めてでも安心。気軽に始める災害ボランティア

──災害ボランティア活動への参加の仕方を教えてください。

大きく2つの方法があります。1つ目は、被災地域の社会福祉協議会等が設置する「災害ボランティアセンター」に個人で登録することです。安全管理や公平性の観点から支援できる範囲が決められており、原則として現地の方から要望のあった支援のみを提供します。

2つ目は、専門NPOなどを通じて参加する方法です。こちらは支援内容が定められておらず、訓練を受けたスタッフや必要な装備、安全管理の体制を整えたうえで、より専門性の高い作業に対応できます。私たち日本財団ボラセンの場合を例にとると、ボランティア活動のマッチングサイト「ぼ活!」から申し込みをし、当日は東京駅に集合して新幹線やバスで現地入り。集合場所から解散場所までの交通費、現地で必要な食事や飲料、装備も提供するなど、初めての方も気軽に参加できる仕組みを整えています。

また、事前に知識や技能を習得したい方に向けて、日本財団ボラセンでは茨城県つくば市の「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター」でさまざまな研修を提供しています。無料で参加できるオンライン研修に加え、家屋再生や重機の操縦などの実技演習を行うプログラムも。北海道や関西、四国、九州からも参加者が集い、熱心に学んで、各々の地域に技術を持ち帰ってくださっています。

〈家屋再生、屋根の応急処置の研修は、敷地内の実物大家屋で行う〉

〈トレーニングセンターのフィールドで小型重機の操縦を練習できる〉

支援を提供する「手」に欠かせないもの

──災害ボランティア活動にはどのような装備が必要ですか?

ヘルメット、長袖長ズボン、長靴もしくは安全靴が基本装備です。水害の後片付けの場合はさらに防塵マスクが必要です。乾燥した汚泥が粉塵になり、吸い込むと呼吸器疾患を引き起こす場合があるためです。

あらゆる支援に欠かせないのが手袋です。力仕事が多いため、グリップ力のあるものがおすすめです。日本財団ボラセンでは手のひらにコーティングがある「ライトグリップ」を参加者の皆さんに提供しています。通気性が高くて快適ですし、着脱もしやすい。軍手と違って薄手ですから、作業しやすく持ち運びにもかさばりません。2色展開なので、Mサイズはパープル、Lサイズはレッドと決めて、現場で区別しやすいようにしています。
よりフィット感が高い「マイクログリップ ラバーグリーン」もいいですね。工具を使う作業やロープ作業もあるため、これら作業性が高い手袋は重宝します。

また、私自身の経験でいえば、冬場の雪かきや、寒さで凍った漂着物の片付けといった過酷な寒冷下の作業では、防水性と保温性、透湿性を備えた「TEMRES 02Winter」が重宝しましたね。
こうした寒さ対策に加えて、現場の危険から身を守るための使い分けも重要です。例えば、泥の中に埋まっている木材やガラス片、あるいは瓦礫の片付けなどで手を切ると破傷風菌に感染するおそれがあるため、そうした現場では耐切創手袋や革手袋の着用が欠かせません。
このほか、炊き出しでは衛生的な使いきりタイプのニトリル手袋やビニール手袋を使うという具合に、作業ごとに手袋を使い分けています。

作業効率を保つこと、そして災害ボランティア自身の健康と安全を守ることが、多くの方を救うことにつながります。さまざまな手袋が、その力になってくれるんです。

(2026年5月16日取材)

インタビューで取り上げた手袋について、さらに詳しく知りたい方はこちら

  • No.341ライトグリップ

    強力なグリップ力と軽やかなフィット感

  • No.344 マイクログリップ ラバーグリーン

    手に密着するフィット感と優れたグリップ力

  • TEMRES 02winter

    ムレずにあたたか防寒・防水グローブ

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